AudibleはAIによるナレーションのオーディオブックライブラリを拡大しています。

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AmazonのオーディオブックサービスであるAudibleは火曜日、特定の出版社と提携し、紙の書籍や電子書籍をAIナレーションのオーディオブックに変換する取り組みを開始すると発表しました。この取り組みは、急成長するオーディオブック市場においてAppleやSpotifyなどとの競争を見据え、カタログを迅速に拡大することを目的としています。

AudibleはAmazonのAI技術を活用し、出版社がオーディオブックを制作する支援を行います。出版社は、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語において、さまざまなアクセントや方言を含む100種類以上のAI音声から選ぶことができます。今後、この音声オプションはさらに拡充される予定です。

さらにAudibleは、今年後半にAI翻訳のベータ版を展開する計画も明らかにしました。これは、テキストからテキスト、音声から音声の翻訳サービスを提供するもので、英語からスペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語への翻訳に対応予定です。翻訳の正確性を高めるために、「プロの言語学者」によるレビューを受けるオプションも出版社に提供されます。

2023年には、Amazonが米国で自費出版の著者向けに、合成音声技術を使って電子書籍をオーディオブックに変換できる招待制ベータ版の仮想音声ツールを導入しました。また昨年、Audibleは一部のオーディオブックナレーターを招いて、自分たちの声でAIをトレーニングする取り組みも行っています。

Audibleで「Virtual Voice(仮想音声)」と検索すると、「Narrated By: Virtual Voice(ナレーター:仮想音声)」とラベル付けされたタイトルが5万件以上表示され、この技術が自身でナレーションを制作する資源を持たない著者たちに広く利用されていることがうかがえます。

その一方で、AIによるナレーションの導入は出版業界やリスナーの間で議論を呼んでいます。批判的な意見の中には、AI録音がオーディオブックの全体的な品質を損なう可能性があると懸念する声もあります。

Audibleに次ぐ規模を誇るオーディオブックプラットフォームのSpotifyも、AIナレーションツールを活用してオーディオブックライブラリの拡充を図っています。同社は今年2月、AI音声技術企業ElevenLabsと提携しました。

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